経営審査事項(経審)その4『自己資本額及び平均利益額』
今回は総合評定値(P点)を構成する5つの項目のうち②自己資本額及び平均利益額(X2)について説明致します。自己資本額及び平均利益額が総合評定に占める割合は15%になります。
1.自己資本額
自己資本額とは、決算書のうち貸借対照表の資産総額から負債総額を差し引いた純資産の合計をいいます。審査基準日か直前2年平均のうち有利な方を選択できます。自己資本額がマイナスの場合は0円として評価します。
【自己資本額の算出方法】
自己資本の金額に応じた区分の算出式に当てはめて計算します。
(例)自己資本額が10億円の場合
①区分:10億円以上12億円未満→21×(自己資本額)÷200,000+816
②評点計算:21×1,000,000(千円単位)÷200,000+816=921
2.平均利益額
経審の計算で用いる利益額は「利払前税引前償却前利益」といい、営業利益に原価償却費を足し戻した額になります。この額の2年平均が評価対象となり、これを「平均利益額」といいます。
「利払前税引前償却前利益」は損益計算書に表示される営業利益に原価償却費を加えた額です。この利益額は常に2年平均を使用します。平均利益額がマイナスの場合は0円として評価します。
【平均利益額の算出方法】
平均利益額の金額に応じた区分の算出式に当てはめて計算します。
(例)直前2年平均の利払前税引前償却前利益が1億円の場合
①区分:1億円以上1億2,000万円未満→15×(平均利益額)÷20,000+666
②評点計算:15×100,000(千円単位)÷20,000+666=741
3.自己資本額及び平均利益額(X2)の算出
自己資本額と平均利益額、それぞれの計算ができたら、自己資本額及び平均利益額(X2)を算出します。
算出式は次のとおりです。
X2=(自己資本額+平均利益額)÷2
1と2で算出した数字を当てはめて計算すると・・・
X2=(921+741)÷2=831
P点換算すると、831×0.15(ウエイト15%)=124となります。
自己資本額及び平均利益額(X2)の項目は短期的に評点アップができるものではありませんので、未来を見据えて中長期的な経営戦略が必要になってきます。
朝日 裕美(OPEN行政書士事務所スタッフ、行政書士有資格者)