NPO法人・一般社団法人

まずNPO法人についてですが、弊所ではNPO法人に関する様々なご相談をお受けしております。

私が行政書士になって最初に相談をお受けしたのも、旧友からのNPO法人を設立できないだろうか、という相談でした。

NPO法人の正式名称は特定非営利活動法人で、特定非営利活動促進法により規定されています。
これは、阪神・淡路大震災の際のボランティア活動がすばらしく、ボランティア活動に法人格を与える必要性が出てきたために出来た法律であります。

社会起業という言葉もありますが、営利・非営利の垣根というは、実は難しいものと考えております。
非営利の法人といえども、どこまでボランティアでやれるか、という問題が多くの場合、つきまとうものと思います。

さてNPO法人を設立するためには、法で定められている20の特定非営利活動のうち、少なくても1つに該当しなければなりません。
「その他の事業」も行う事もできます(法には“特定非営利活動に支障が生じるほど「その他の事業」を行わないこと”と定められています)。

特定非営利活動に係る事業で収益を上げることもできますし、その他の事業で収益を上げることもできます。
ただし、株式会社や合同会社などの会社法人とは違い、利益を構成員(株式会社では株主)に分配することはできず、特定非営利活動の資金に当てなければなりません。

しかし実際、中小企業は利益を未来の事業資金に当てる事の方が多いのではなでしょうか?
そう考えますと、NPO法人(や後述する一般社団法人)と会社法人の違いは究極的には、イメージの違いといってもよいかもしれません。

「企業は社会の公器」という松下幸之助さんの言葉もあるからです。
しかしこのイメージの違いというものは大きいと思います。
構成員やスタッフあるいは関係する人・団体等がどういう気持ちで関わるかに影響するからです。

その他、NPO法人は、登記における登録免許税が掛からなかったり、事業にかかる税金面での一定のメリットがあったりします。

デメリットとしては、設立のために所轄庁(都道府県または政令指定都市)に出す書類が多く、申請後、市民への設立書類の縦覧期間があり(札幌市は現在1カ月)その後に登記を行うため設立に時間が掛かり、さらに設立後も毎年、所轄庁に事業報告書などを出さなければならない事があげられます(事務が煩雑と感じた場合には、大いに行政書士に頼って頂きたいと考えております。

弊所もいくつかのNPO法人と顧問契約を結んだり、単発で事務処理に対応させて頂いたりしております)。

NPO法人は、社員(構成員)が最低10名必要で、また、役員として理事が最低3名、監事が最低1名必要です(社員と役員は同じ人でよく、最低10名が設立には必要となります)。

一般社団法人は、非営利法人としては、いわゆる「箱だけ、側だけ」といった法人で、組織設計、制度設計に関して非常に自由度が高いというメリットがあります。

まずNPO法人とは違い、所轄庁というものは存在しません(毎年の事業報告はありません)。

設立の際は、株式会社設立の手続きと同様に、まず公証役場で定款認証を行い、法務局で登記申請を行うだけです(但し公証人手数料や登録免許税などの費用は掛かります)。
所轄庁は存在しません(毎年の事業報告は必要ありません)。
構成員は社員が最低2名、役員は理事1名で設立可能です(社員と役員は同じ人で問題ありません)。

デメリットとしては、NPO法人よりも、市民活動、社会活動というイメージは弱いことがあげられます(主な事業が特定非営利活動に該当し、組織構成などもクリアできるのでれば、NPO法人の方が、良いのではないかと考えております。組織内外に向けて「何を行うか」という事がわかりやすいからです)。

しかし、目的や活動内容がある程度明確であり、法人化する事が望ましい団体等であれば、一般社団法人の自由度の高さは、「使える」と考えてよろしいかと思います。

なお、NPO法人は認定NPO法人に、一般社団法人は公益社団法人になることができます。
これらはいわばステップアップという感じであり、税金面他のメリットがあります。

弊所では、NPO法人と一般社団法人のどちらにも、設立や設立後のサポートに実績がありますので、お悩みな事等が御座いましたらぜひともお気軽にお尋ね下さい。